乗る列車を間違ったことを知った呆然としている私に

車掌さんが丁寧に、

「次の駅に着いたら降りなさい。

そしてプラットフォームO△□番線で待っていなさい。

そうしたらブライトン行きの列車がそのうち来るからそれに乗りなさい。」

と教えてくれました。

しかしその時は、

そんなことを言っているのかなぁくらいの理解だったと思います。

お礼を言って席に戻り、

次の駅へ着くのを待ちました。

あたりはすでに真っ暗でした。

駅へ降りた私は、一瞬でまた不安に襲われました。

無人駅のようなとても小さな駅だったからです。

真っ暗で、周りに街があるような雰囲気もなく、

街灯がいくつか付いているだけでした。

乗っていた列車を見送り、

一人プラットフォームで待ちました。

本当に列車が来るわからない私は、

ずっとドキドキしていました。

「教えてくれたのはこの駅でよかったのか。

実は次の駅だったんじゃないのか。

この小さな駅には永遠に列車はこないんじゃないか。」

“来るかわからない電車を待つ”ほど長く感じることはありません。

ベンチにも座らず、待ち続けました。

すると、ひと組の家族が同じプラットフォームに来ました。

「良かった。電車は来るんだ。」

胸を撫でおろし、安心して列車を待ちました。

すると遠くの方から列車の明かりが見えました。

列車を目で追いながら止まるのを待っていると、

その列車の中に、若者たちの集団がいるのが見えました。

しかもだいぶ盛り上がっているようです。

いやだいぶ酔っている様です。

すると一人の若者が窓を開けて顔を出しながら

「Hey!」と声をかけてくるではありませんか。

これはまずい。

これに乗ったら確実に絡まれる。

だけどこれに乗らないと次の電車がいつ来るかわからない。

そこで取った策が、

一緒にプラットフォームで待っていた家族と一緒に乗ることでした。

その家族はお父さん、お母さん、娘さんの3人家族でした。

その列車のボックス席には全てドアがついていて、

私はその家族と同じボックス席に座りました。

車内はガラガラなのに。

でもその家族は状況を察知したのか

何も言わず同じ席に座らせてくれました。

それから若者の集団はそのボックス席の前を行ったり来たりしていました。

生きた心地がしませんでした。

この家族の行き先がブライトン駅である様にと願いました。

時間が経つとその若者の集団は

一人、二人と途中の駅で降りていきました。

一緒にいた家族はブライトン駅の何個か前の駅で降りました。

その列車にはもう自分しかいないと思っていました。

そしてようやくブライトン駅に着きました。

安心して降りようとすると、

まだ数名若者が列車にいることに気がつきました。

そしてまだ酔っているようです。

そして私に気が付いたようで向かってくるような素振りをしました。

そこからバスまでダッシュです。

わざと迂回して乗るバスをさとられないにようにもしました。

今となっては、若者たちが自分に危害を与えようとしたかは分かりません。

ですが知らない土地でのあの経験は、

「日本にいる時はとても守られていた環境にいたんだ」という感覚を学びました、

電車でぐっすり眠れる日本は素晴らしいですね。

今夜も良い夜を。

Posted by:Grow Shigeo

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